フロントフォークは相変わらず。下位グレードモデルにも関わらず、直安性、回頭性、減速性すべて一級。だが、4回も湾曲するその形状にはどのような意味があるのか、なぜいいのか、その理由を考えることなく、素晴らしいぞ最高だぞとオウムのように同じことを何度も繰り返しているばかりでは能がない。
乗れば確かに文句なくいい。僕だって過去に絶賛してきた。「コーナリングは痛快かつ意のまま、レーンチェンジは正確かつ自由自在」 「俊敏性にも安定性にも富んだピナレロのハンドリングには、ロードバイクを操る愉しみそのものが凝縮されている」 「このハンドリングだけでもピナレロを所有する価値は充分にあると思う」 …現象としては確かにそうなのだ。しかしそれはなぜなのか。このグニャグニャの形状にエンジニアリング的正義は宿っているのか。
まずは異業種、某有名二輪メーカーに勤務する知人のエンジニアにONDAフォークを考察してもらった。 彼曰く、通常のベンドフォークだと衝撃を受けたときにフォーク先端・フォーク根元・変形の中間部分 (曲線の頂点) の3箇所に応力が集中してしまう可能性があるそうだ (ストレートフォークだと先端と根元の2箇所になる)。
ONDAフォークを見た彼は、あくまでも推測にすぎないし、真意は設計者にしか分からないけど、と慎重に前置きした後、「このように何回も曲げる形状からは、応力を分散させる意図が感じられる」 と言った。4回湾曲させることでわざと弱い場所を何箇所か作り、フォーク全体に一様に応力をかけているのではないか、ということである。応力集中を避けることができるから不自然なたわみ方をせず、自然なハンドリング特性 (直安性・回頭性) が得られる。応力を散らすことによってフォーク自体を薄く (=軽く) でき、軽量性・快適性もプラスされる。
「フォーク断面積に大きな変化はないから左右方向の剛性変化は少なく、横剛性へのデメリットはなさそう。これぞCAE (Computer Aided Engineering=強度・性能などの特性を解析するコンピュータシステム) の恩恵だろうね」 |