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地味だ。イタリアンバイクのような押し出しの強さは皆無。デザインやグラフィックもそうだがスペックも然り。所謂 「最新スペック」 と言われるものは一切持っていない。表層デザイン以外、何年も前から何も変わっていないように見える。
Fシリーズがカーボン化され現在の形状になったのが2005年 (車名:F1C)。2007年末には素材のグレードを大幅に変更し、形状は同じながら中身は全く別物になるなど、外見はほとんど変えぬままモデルチェンジを繰り返す。ナノテクノロジーが導入され、F1SLとなったのは2008年末のことである。そう考えると本当に息の長いモデルだった。
一つの車種に毎年毎年マイナーチェンジを施しながらじっくりと育て上げるというフェルトの手法は、毎年ニューモデルを大盤振る舞いしてユーザーの購買意欲を煽りまくる 「その他大勢」 とは対照的である。商品力・訴求力という点では劣るかもしれないが、このドイツブランドの実直なやり方に好感を持つサイクリストも多いだろう。
なめらかなフレーム表面からフルモノコックだと思われがちなこのFシリーズだが、フロント三角、シートステー、チェーンステーからなる3ピース構造であり、接合には各パーツを溶かしあいながら繋ぐ 「モジュラーモノコック」 という方法が使われる。中間で一旦絞り込み後方に向けて再び太くなっていくトップチューブ、シートステー上部の接合部を下にオフセットさせてリア三角をコンパクトにしているのが外見上の特徴である。
このF1は2008年よりプロチームもガーミン・スリップストリームに供給されており、エアロ系モデルのAR1と共にチームのメインバイクとして活躍している。これによりフェルトのFシリーズ、ARシリーズは商品イメージを急激に向上させ、「プロチーム使用ブランド」 という大きなハクをフェルトに付けることとなった。
しかしその一方で、これはトッププロチームに供給されるバイクの中でISPもBB30も大口径ヘッドも筋骨隆々のエアロ形状も持たない (=スペック的には下位に立つ) 数少ないフレームの一つである、ということをロードバイクファンに印象付けてしまったのも事実だろう (他にはサーベロ、エディメルクスなどがあるが、圧倒的に少数派である)。もちろんフレームはスペックで決まるわけではない。いつものようにハンドル、サドル、ステム、ホイールを自分のものに交換して、一週間の期間限定オーナーになってみると、F1SLは、やはり全く違う顔を僕に見せるのだった。
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